子育てコラム・子どもを幸せにするためのポイント④

子どもを幸せにするための子育てのポイント④

 

子どもを幸せにする2つ目のポイントは「ありのまま」を認めるということです。生徒を「ありのまま」認めた先生のお話を紹介します。

 

その先生が五年生の担任になった時、一人、服装が不潔でだらしなく、どうしても好きになれない少年がいた。中間記録に先生は少年の悪いところばかりを記入するようになっていた。

ある時、少年の一年生からの記録が目に留まった。「朗らかで、友達が好きで、人にも親切。 勉強もよくでき、将来が楽しみ」とある。間違いだ。他の子の記録に違いない。先生はそう思った。二年生になると、 「母親が病気で世話をしなければならず、時々遅刻する」と書かれていた。三年生では「母親の病気が悪くなり、疲れていて、教室で居眠りする」後半の記録には「母親が死亡。希望を失い、悲しんでいる」とあり、四年生になると「父は生きる意欲を失い、アルコール依存症となり、子どもに暴力をふるう」先生の胸に激しい痛みが走った。ダメと決めつけていた子が突然、深い悲しみを生き抜いている生身の人間として自分の前に立ち現れてきたのだ。先生にとって目を開かれた瞬間であった。放課後、先生は少年に声をかけた。「先生は夕方まで教室で仕事をするから、あなたも勉強していかない?分からないところは教えてあげるから」少年は初めて笑顔を見せた。それから毎日、少年は教室の自分の机で予習復習を熱心に続けた。授業で少年が初めて手をあげた時、先生に大きな喜びがわき起こった。少年は自信を持ち始めていた。

クリスマスの午後だった。少年が小さな包みを先生の胸に押しつけてきた。あとで開けてみると、香水の瓶だった。亡くなったお母さんが使っていたものに違いない。先生はその一滴をつけ、夕暮れに少年の家を訪ねた。雑然とした部屋で独り本を読んでいた少年は、気がつくと飛んできて、先生の胸に顔を埋めて叫んだ。「ああ、お母さんの匂い! きょうはすてきなクリスマスだ」

六年生では先生は少年の担任ではなくなった。卒業の時、先生に少年から一枚のカードが届いた。「先生は僕のお母さんのようです。そして、いままで出会った中で一番すばらしい先生でした」

それから六年。またカードが届いた。「明日は高校の卒業式です。僕は五年生で先生に担当してもらって、とても幸せでした。おかげで奨学金をもらって医学部に進学することができます」

十年を経て、またカードがきた。そこには先生と出会えたことへの感謝と父親に叩かれた体験があるから患者の痛みが分かる医者になれると記され、こう締めくくられていた。「僕はよく五年生の時の先生を思い出します。あのままだめになってしまう僕を救ってくださった先生を、神様のように感じます。大人になり、医者になった僕にとって最高の先生は、五年生の時に担任してくださった先生です」そして一年。届いたカードは結婚式の招待状だった。「母の席に座ってください」と一行、書き添えられていた。

 

子どもは必ずしも親の思い通りの行動をとってくれないことも多々あります。そんな時にも「どうして言うこと聞かないの」と考えるのではなく、子どもの行動を基に親が「自分が子どもに対してできることはないだろうか」という考えで接していけば、子どもの自己肯定感は高まっていきます。自己肯定感の高い子どもは、自信を持って何でも挑戦するようになるし、心に余裕があるので他人に対する思いやりも発揮することができます。「ありのまま」を認めて、お子さんの自己肯定感の高めてあげてください。

 

親学推進協会講師 杉本哲也

 

***杉本哲也氏***

昭和54年生まれ、大阪府八尾市出身
京都大学大学院工学研究科修了
味の素株式会社、松下政経塾、衆議院議員政策担当秘書、総合幼児教育研究会客員研究員を経て現在

幼稚園・保育園の経営者向けの塾・自彊不息塾塾長
幼年国語教育会 理事
一般社団法人 実践人の家 理事

国内の保育園・幼稚園だけでなく、フィンランド、オーストラリア、シンガポール、インドネシア、バングラデッシュ、ミャンマーなど海外の幼稚園・保育園・小学校でも幅広く講演をしている。