子育てコラム・一人前の大人にするためのポイント①

一人前の大人にするための子育てのポイント①

子育ての相談を受けていると、「子育てでいちばん大切なことは何ですか?」という質問を受けることがよくあります。答えとしてはいろんなことが考えられるのですが、私なりの答えを皆さんにご紹介いたします。

今年はコロナ感染の影響でプロ野球の開幕が遅くなりましたが、プロ野球の世界は、小さいころから野球を始めて、高校や大学での競争に勝ち抜いた選手の集まりです。いわば野球選手の勝ち組の集団であり、甲子園大会優勝などの華々しい戦績を持って、プロ野球界に入団します。しかしそんな中でも一軍で大活躍する選手もいれば、ドラフト1位で入団しながら二軍でくすぶっている選手がいます。一体この違いは何が生み出しているのでしょうか。ある人が講演会でプロ野球の現役監督に「一軍選手と二軍選手の違いは何ですか?」と質問をしました。もちろんそれは「技術の差」なのですが、質問を受けた監督の答えは「生活習慣です」というものでした。集合時間に遅刻する、偏食で体重が増える、体調管理の意識が低くいつも眠たい目をして練習に出てくる、そうした選手は多少の技術や実績があっても、一軍には呼んでもらえません。「生活の乱れは心の乱れ」と言いますが、これはプロ野球だけでなく、どの世界でも同じことが言えるようです。多くの会社の人事担当者も「いわゆる仕事ができる人は生活習慣が整っている」と言っています。

というわけで、「子育てでいちばん大切なこと」の答えとして、第一に挙げたいのが、生活習慣を整えることです。意外な答えだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この生活習慣が整っているかどうかが、一人前の社会人としての信頼を得る分岐点になるのです。

整えるべき生活習慣を具体的に言うと、①寝る時間と起きる時間を定めること、②起床後に洗顔、歯磨き、排泄を行うこと、③朝日を浴びること、④朝食を食べること、の4つです。

①寝る時間と起きる時間を定めることに関してですが、就学前の年齢で言えば、少なくとも午後9時までに就寝をして、午前6時以降に起床し、9時間以上の睡眠を確保することをお勧めします。近年の脳科学の研究によれば、人間の脳は生まれてから3歳までに成人の約6割、6歳までに約8割の成長を遂げると言われています。この成長著しい時期に、十分な睡眠の確保をすることは脳の発達上とても重要なことです。

②起床後に洗顔、歯磨き、排泄を行うことは、健康を維持する上で重要な行為です。大人になってからも健康維持が可能になり、職場での病欠が少なくなって、信頼につながるでしょう。

③朝日を浴びることは、体内時計がリセットされて、一日の身体のエンジンがかかります。また脳内物質のセロトニンが分泌されて、落ち着きが出てきます。

④朝食を食べることは、炭水化物(とくにお米)を中心に摂取して、一日のエネルギーを補給するとともに、就学前はタンパク質を摂取して、身体作りにも努めましょう。

生活習慣を整えるには、現在の生活習慣をいきなり大きく変えるのではなく、少しずつ変化させていくとよいでしょう。「三日坊主」という言葉がありますが、実は生活習慣を変化させると、三日目に負荷のピークがやってきて「これが続くと疲れて日常生活が続けられない」と感じて、元に戻してしまう傾向があります。四日目になると変化に慣れるので、一度変更したら四日以上は続けてもらうことを付け加えておきます。

それぞれのご家庭で、まずは先述の4つの生活習慣を意識して、お子様の一人前の大人への道の第一歩を踏み出して頂くことを願っております。

親学推進協会講師 杉本哲也

 

***杉本哲也氏***

昭和54年生まれ、大阪府八尾市出身
京都大学大学院工学研究科修了
味の素株式会社、松下政経塾、衆議院議員政策担当秘書、総合幼児教育研究会客員研究員を経て現在

幼稚園・保育園の経営者向けの塾・自彊不息塾塾長
幼年国語教育会 理事
一般社団法人 実践人の家 理事

国内の保育園・幼稚園だけでなく、フィンランド、オーストラリア、シンガポール、インドネシア、バングラデッシュ、ミャンマーなど海外の幼稚園・保育園・小学校でも幅広く講演をしている。